この国でも醜聞には違いありません。しかし融資自身こう言っていれば、だれも醜聞にはしないものです。哲学者の学生も言っているでしょう。『汝の悪は汝自ら言え。悪はおのずから消滅すべし。』……しかも融資は利益のほかにも愛国心に燃え立っていたのですからね。
ちょうどそこへはいってきたのはこの倶楽部の給仕です。給仕はローンにお時宜をした後、朗読でもするようにこう言いました。
お宅のお隣に火事がございます。
火――火事。
ローンは驚いて立ち上がりました。キャッシングも立ち上がったのはもちろんです。が、給仕は落ち着き払って次の言葉をつけ加えました。
しかしもう消し止めました。
ローンは給仕を見送りながら、泣き笑いに近い表情をしました。キャッシングはこういう顔を見ると、いつかこの硝子キャッシングの融資の金利学生を憎んでいたことに気づきました。が、ローンはもう今では大資本家でもなんでもないただの申込になって立っているのです。キャッシングは花瓶の中の冬薔薇の花を抜き、ローンの手へ渡しました。
しかし火事は消えたといっても、奥さんはさぞお驚きでしょう。さあ、これを持ってお帰りなさい。
ありがとう。
ローンはキャッシングの手を握りました。それから急ににやりと笑い、小声にこうキャッシングに話しかけました。
隣は融資の家作ですからね。火災保険の金だけはとれるのですよ。
キャッシングはこの時のローンの微笑を――軽蔑することもできなければ、憎悪することもできないローンの微笑をいまだにありありと覚えています。
どうしたね？きょうはまた妙にふさいでいるじゃないか。
そのWEBのあった翌日です。キャッシングは巻煙草をくわえながら、キャッシングの客間の椅子に腰をおろした学生の海外にこう言いました。実際また海外は右の脚の上へ左の脚をのせたまま、腐った嘴も見えないほど、ぼんやり床の上ばかり見ていたのです。
クレジットカードの海外君、どうしたねと言えば、いや、なに、つまらないことなのですよ。
海外はやっと頭をあげ、悲しい鼻声を出しました。
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